Performance Treasure Map(以下PTM)というものが何か、そしてなぜこの地図(概念)を考案したのかを説明します。「何に使うか」または「どう使うか」よりも、まずは「なぜ使うか」をここで提言していこうと思います。
なぜPTMが必要か
「このトレーニングなんのためにやってるんだっけ?」
こんな経験はないでしょうか。
流れていく日常の中で、気がついたらトレーニングのためにトレーニングをしていたこと、トレーニングをすること自体がゴールになってしまっていたこと…
少なくとも多くの人に、同じような経験があると思います。
そして、その時トレーナーやコーチは明確な指針を示せていたでしょうか。揺るぎない解を持っていたでしょうか(アスリート自身も同様に)。
どんな立場であろうと、自分の今いる位置(存在)とゴール(目的)を見失うような状況に陥ったとき、人はとてつもない違和感に襲われます。
かの有名な心理学者であるアルフレッド・アドラーは、目的についてこのように述べています。
「人は人生の正しい目的を持って生活しなければならない。目的を欠くと、人は人生の羅針盤を失い、人生の幸せからも見放されてしまう。」
Alfred Adler
パフォーマンス向上を追求する者にとって、PTMという概念は下記のような役割を果たすと私は考えています。
② 目的(宝)達成への効率化を図る(意味のある細分化により統合的アプローチが可能)
③ 目的(宝)を見失ってしまった場合に、あるべき道を示す(圧倒的違和感の除去)
PTMのロゴは「羅針盤」がモチーフ
※多種多様な競技のイメージもロゴに含まれてる
新しい前提 > 新しい技術
アナトミー・トレインの著者であるトーマス・マイヤースの言葉にこんなものがあります。
「現在必要なのは新しい技術ではなくて、応用のための新しい戦略に至る新しい前提である。そして、見かけだけの新しい手技よりも有益な新しい前提を得る方がずっと困難である。」
Thomas W. Myers
新しい技術を否定する訳では断じてありませんが、この言葉はまさに「腑に落ちる」そんな感覚でした。
その概念・前提の共有を、デジタルテクノロジーを用いて体現化したのがPTMです。また、マインドマップを用いることで、思考を言語化することを可能にしました。これにより、共通言語の獲得も同時に可能となりました。
方法論からの脱却
「文字を書くためにペンがあるのであって、ペンのために文字があるわけではない。」
これはかの有名な…
と言いたいところですが、私の言葉です。
何が言いたいかというと、『ペンは文字を書くという目的のための手段(方法)であって、本質ではない』ということです。
どんなペンを使うか、そもそもペンである必要があるのか(砂に指で書いてもいい etc…)というのは、そのときに応じて変化するものだと思っています。
一点、普遍の事実は『文字を書くという目的がある』ということです。
昨今、トレーニングやケアの世界では様々な新しい技術(方法論)が提唱されています。もちろん、そのどれも創案者たちが強い思いを込めて考え出した素晴らしいものだと思っています。
私が学生の頃は、その技術を学ぶ事自体に意味があると思っていました。
ですが今は、「方法論の収集」が目的にならないように細心の注意を払っています。なぜなら、トレーニングやケアに活用される技術はペンであり、本質(目的)ではないからです。
また、下記のように要素の相互性や関係性を示すものは多く存在しますが、それが最終的に何に繋がっているかが明確になっている図は少ないと感じています。
要素関連図(イメージ)
トレーニングにおいて非常に重要な考えだが目的との解離が懸念点として挙げられる。
要素を繋げていくことは大変重要ですが、そもそもアスリートは要素の向上ではなくパフォーマンスの向上を目指しています(筋力upしたいのではなく、パフォーマンスを向上させ(例:高く跳ぶ)試合に勝つために筋力をupしたいと思っているはずです)。
PTMの概念や、その概念のもと作成された最初の地図であるOriginal K-Mapがあれば、方法論に依存することは限りなく少なくなると思っています。
そしてまた技術(方法)の大切さを知る
明確な目的の設定と、そこに結びつくような分類や細分化ができてはじめて、洗礼された技術や製品の重要度がより際立ってきます。
結局のことろ、目的にたどり着くには何らかの方法を選択する必要があります。だからこそ、素晴らしい技術を学ぶことや製品を活用することは重要だと考えます。
そして、PTMはその技術や製品に『より重要な意味』をもたせるものだと思っています。
私は大学時代にこんな言葉を学びました(元フランス代表監督:ロジェ・ルメール)。
「学ぶことをやめたら、教えることをやめなければならない。」
Roger Lemerre
アスレティックトレーナーとして、本質の探求も技術の修得も続けていきたいと思っています。
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